プレコンセプションケアと栄養のとり方
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プレコンセプションケアと栄養のとり方
妊娠しやすいカラダをつくるには、今の自分たちの生活や食習慣を見直してみることも大事な作業です。必要な栄養素、積極的にとりたい栄養素、また心がけたい食べ方などについて、荒田尚子先生、佐藤雄一先生にお伺いしました。
まずはプレコンセプションケアチェックをしてみよう!
「プレコンセプションケアとは将来の妊娠のための健康管理のこと。妊娠前に、今までの食生活や生活習慣を見直し、健康診断やワクチン接種を積極的に受けることで、健康な赤ちゃんを産み、育ててもらう。WHOも提唱するこの考え方を日本でも広め、実践してもらうために、国立成育医療研究センター内に『プレコンセプションケアセンター』を開設しました。
それから約8年。個人的に『プレコンセプション』という概念は、年を追うごとに、少しずつ認知されている実感を得ていますが、もっと広く知ってほしい思いでいっぱいです。
多様性の時代となり、働き方などライフスタイルが大きく変化したことで、以前より2人で話し合う時間や機会も増えたはずです。そんな今こそ、自分たちの生活習慣を見直す絶好のチャンス。プレコンセプションケアは、妊娠・出産がゴールではなく、赤ちゃんの将来の健康まで影響を与える長期的な取り組みです。妊娠前の早いうちから2人の生活習慣を改善することで、赤ちゃんの未来がきっと明るく変わります」(荒田先生)

体をつくる基本の栄養素、 動物性と植物性のタンパク質は1日3食バランスよく摂取
「骨や血管、内臓、皮膚、爪に至るまで、体づくりの材料となるのがタンパク質。妊活中は、タンパク質を意識した食事が、なにより重要です」(佐藤先生)
1日に肉と魚をそれぞれ約100g(手のひら大)、牛乳やヨーグルト約200㎖、豆腐約3分の1丁、卵1個を目安に食べると、動物性と植物性タンパク質の両方が摂取できます。
タンパク質を多く含む食品:
牛赤身肉、鶏むね肉、アジ、カツオ、卵、牛乳、豆腐、納豆、チーズなど
脳と体の動きを活性化させ、体内時計を整える。朝食は炭水化物を意識
「朝食には就寝中に消費したエネルギーを補い、脳と体を活性化させる役割があります。朝食を抜くと、集中力が低下するほか、体内時計のリズムも乱れてしまいます。また、朝食ではご飯やパンなどの炭水化物をしっかりとりましょう」(佐藤先生)
炭水化物は体内でブドウ糖に分解され、脳や神経組織などのエネルギー源としての役割を担っています。ただし、炭水化物の過剰摂取は肥満などの原因になるので、夕食では摂取を控えめに。
「いただきます」のあとは食物繊維からが鉄則。食べる順番で体が変わる
「血糖値が高い=血液中に糖が多い状態が続くと、妊娠体質を妨げるだけでなく、健康にもさまざまな影響を与えます。食事はご飯などの炭水化物から食べ始めると血糖値が急上昇するので、食物繊維から食べて、血糖値の上昇を緩やかにすることが大切です」(佐藤先生)
●食べる順番:
①食物繊維(野菜や海藻などのサブおかず)
②タンパク質(肉や魚などのメインおかず)
③炭水化物(ご飯やパンなどの主食)
白いものほど糖質が高い!茶色いパンや玄米で、血糖値を適切にコントロール
「白米やパンなど、白く精製されたものほどGI値(糖質)が高く、過剰に摂取すると卵巣機能の低下を招く可能性があるといわれています」(佐藤先生)
先生によると、妊活中はGI値60以下の食材を選ぶのが目安だそう。ちなみに白米のGI値は100gあたり84に対し、玄米は55なので、白より茶色をセレクトするよう心がけて!
- 低GI値の食品:全粒粉のパンやパスタ、オートミール、そばなど
- 高GI値の食品:食パン、もち、うどんなど
■妊活中から心がけたい食生活のチェックポイント
□タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素を意識してとる
□1日3食、さまざまな食材を取り入れる工夫を
□食べるときは、ゆっくりとよくかんで食べる
□夜遅い時間に食事をとらない、スナック菓子などを食べ過ぎない
□「〇〇だけを食べる」「□□は絶対食べない」など、極端な食事法やダイエットはNG
出典:『妊活たまごクラブ』
監修者
荒田尚子先生
産婦人科医・国立成育医療研究センター 女性総合診療センター 女性内科 診療部長
佐藤雄一先生
産婦人科医・佐藤病院グループ代表