妊活について

将来のため妊娠前に受けたい検診と健康管理

公開日:

将来のため妊娠前に受けたい検診と健康管理

将来の育児は体力勝負!妊活を始めると同時に2人の体を総チェックしておくことはとても大切です。2人の体重管理、受けておくべき検診や予防接種などを佐藤雄一先生にお伺いしました。

女性のやせすぎや筋肉不足は、出産時のリスクが増大。子どもの健康まで脅かします

「女性のやせすぎは、低出生体重児が生まれるリスクが高まり、さらに、生まれた子の将来の健康まで脅かします」と、警鐘を鳴らす佐藤先生。

見た目のスリムさよりも、子どもの将来の健康まで考えた適正な体重管理が必要です。注目すべき点は体重の数字ではなく、体重に対する脂肪の割合(体脂肪率)や推定骨量、そして筋肉量。

「体組成計つきの体重計でチェックすると、管理しやすいでしょう」(佐藤先生)

妊娠してからでは遅い! 妊活中の今こそ受けておきたい検診と予防接種はこれ!

「妊娠を望むなら、まず自分たちの体の状態を知ることが大切です。カップルで、医療機関での検診や予防接種をすませておくことをおすすめします」(佐藤先生)
妊娠前の今、受けておきたい検診と予防接種の一覧は下記の表のとおり。
なかでも、乳がんや子宮頸がんなどは若年層でも増加傾向にあるので、早めに検診しておくと安心です。

〈男女共通〉妊娠前に確認しておきたい予防接種(抗体検査と予防接種)

□麻疹 
□風疹 
□水痘(水ぼうそう) 
□流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) 
□百日ぜき 
□B型肝炎 
□インフルエンザ

<男性>妊娠前に受けておきたい検診

□精液検査(精子の数や運動率) 
□クラミジアや淋菌などの性感染症検査 
□B型肝炎・C型肝炎 
□梅毒検査 
□HIV検査 
□歯科(ムシ歯治療)

<女性>妊娠前に受けておきたい検診

□内科検診(体組成、血圧、尿、血液、心電図、胸部レントゲンなど)
□子宮頸がん検診 
□性感染症検査(肝炎、梅毒、HIV、クラミジア、淋菌など)
□乳がん検診(マンモグラフィー) 
□トキソプラズマ 
□先天性サイトメガロウイルス感染症 
□甲状腺機能 
□膠原病 
□歯科(ムシ歯治療)

男性のやせすぎは、精子の数や運動量などに影響を及ぼす可能性が!

「海外の研究によると、やせすぎの男性は精子の数が少なく、その運動率も低下しているという報告があります」(佐藤先生)

とくに筋肉量が少ないやせ型男性は、血行不良にも陥りやすく、その結果、生殖機能に影響を与えてしまうそうです。タンパク質を意識した規則正しい食生活と、筋トレなどの運動を心がけることが必要です。
なかなか太ることができない男性も、筋肉量を増やすことで健康な体づくりがめざせます。

30〜50代の男性は要注意! 胎児への感染を防ぐためにも、風疹の予防接種を!

「女性は妊娠20週以前に風疹にかかると胎児が感染し、難聴や白内障、先天性心疾患などのリスクが高まります。妊娠中は風疹の予防接種が受けられないので、パートナーと自分のワクチン接種履歴を確認しましょう」(佐藤先生)

ワクチン接種は生涯で2回必要で、2000年4月2日以降に生まれた人は2回接種を受けていますが、それ以前に生まれた人は接種していない、または2回めの接種率が低い可能性があるのでかならず確認を!

妊娠しやすさの目安にもなるBMI値を把握して、適正体重をキープしましょう

BMI(Body Mass Index)とは体格指数のことで、体重と身長のバランスから肥満度を測る国際的な基準です。
「BMI値は20~22あたりをキープすることが目安です。また、妊娠や出産で必要なのは適正な筋肉量。筋肉を鍛えることで成長ホルモンの分泌を促し、同時に性機能も高まるという研究結果もあるほどです。

日ごろから適度な運動を心がけ、男女ともに筋肉量を増やして、健康的な体型を維持しましょう」(佐藤先生)また、「日本肥満学会によると、BMI値が25以上は肥満に該当し、女性の場合、出産時に帝王切開になったり、早産になるリスクが高まったりします。さらにBMI値が30以上になると、排卵障害が多いこともわかっています」(佐藤先生)

ほかにも、妊娠中に妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などにかかりやすいのは、BMI値25以上の女性に多いそう。妊活中の今のうちに食事内容を見直し、適度な運動を習慣にするなどで、適正なBMI値に近づけましょう。

●BMIの算出法と数値の見方

BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

※体重65㎏、身長1.6m(160㎝)の人の肥満指数(BMI)は65÷{1.6×1.6}=25.3(BMI)

出典:『妊活たまごクラブ』

監修者

佐藤雄一先生

産婦人科医・佐藤病院グループ代表