更年期について

女性が受けておきたい検診・検査

公開日:

女性が受けておきたい検診

みなさん、検診は受けていますか?自分のことだけでなく、大切な人には長く健康にいてほしいと誰もが思いますよね。

検診は、特定の疾患を早期発見・早期治療を行うために必要不可欠なものであり、その後の人生を大きく左右します。ここでは、45歳以上の女性が受けておきたい検診・婦人科検診についてまとめました。みなさんも、誰かの大切な人です。ひとりひとり人生を大きく左右する検診、もう一度向き合ってみましょう。

■子宮頸がん検診

子宮は、下部の筒状の「子宮頸部(けいぶ)」と、上部の袋状の「子宮体部(たいぶ)」に分かれていますが、子宮頸がん検診は、子宮頸部にできるがんを見つける検診です。子宮頸がん検診は20歳から、2年に1度定期的に受診することが推奨されています。

子宮頸部の細胞がHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染すると一部の人では異常な変化を起こして異形成という病変になり、そのうち一部はがんへと進むことがわかっています。子宮頸がん検診は、問診、腟鏡診、内診と細胞診により、子宮頸がんの早期発見・早期治療を目的にしています。婦人科検診で死亡率減少効果が証明されているのは子宮頸がん検診だけです。

■乳がん検診

乳がん検診は、超音波検査(エコー)やマンモグラフィ検査を使用し乳房にできるがんを見つける検診です。乳がんは30歳から増え始め、40代~50代の女性で最も多くなります。検診で実施するマンモグラフィ検査では、乳腺が発達している40歳頃までは乳腺が白く写り、異常がわかりにくいことが多いため、40歳以降での検査がより有効的となります。

今の日本女性の部位別がん罹患率1位が乳がんで、全体の22%にのぼります。また、女性が生涯で乳がんに罹患する確率は9人に1人と言われていますので、40歳を過ぎたら2年に1回は受けておくべき検診です。ホルモン補充療法を受けている人や家族に乳がんの方がいる人は、特に気をつけて1年に1回の検診を受けるようにしましょう。

また、検診と同じくらい乳がんの早期発見に重要になるのが、月1回の自己触診です。自分の乳房の状態を知っておき、毎月、確認する習慣をつけておくと、ちょっとした変化に気づきやすくなり、異常があったときに早期に発見・必要な検査を行うことができます。自己触診は、生理が終わったタイミングで入浴時などに乳房の形を観察し、触って異常がないか調べる習慣をつけるようにしましょう。

■骨粗しょう症の検診

骨粗鬆症の検査は、骨の密度を調べる骨密度測定を行います。この骨密度測定は、X線検査や超音波検査で骨の中にどれだけカルシウムやリンなどのミネラル成分が含まれているか調べ、骨粗鬆症や骨折のリスクを判定することに用いられます。女性は閉経すると、骨粗しょう症が進行することがあります。それは、骨からカルシウムが流出するのを防ぐ重要な役割をしていた女性ホルモン(エストロゲン)が減少するためです。また、日焼け防止のため日光に当たることを避けるほとんどの女性は、カルシウムと共に骨を強くする活性化ビタミンDが不足してしまっています。骨粗しょう症は骨折などで検査をしない限り、なかなか気付くことができません。骨粗しょう症の検診は自治体によっては助成が出る大事な検診ですので、積極的に受けるようにしましょう。

■大腸がん健診

50歳を過ぎたら大腸がん検診も忘れずに。便潜血法で2年に1度健診した場合でも30年後に大腸がんでなくなるリスクを22%減らせることがわかっっています。

■女性ホルモン検査や甲状腺ホルモン検査

月経不順や無月経のある方は、その原因について、血液検査である程度推し量ることができます。

血液検査で、卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲン、プロゲステロン、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモン、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチン、などを測定することができます。

特に、甲状腺疾患は女性に多いので、症状のある方は一度検査してみるとよいでしょう。

【制作】『からだにいいこと』 株式会社セントラルメディエンス コミュニケーションズ

監修者

池田裕美枝先生

医学博士、産婦人科専門医、内科認定医、社会医学系専門医