更年期について

更年期に現れやすい不調

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更年期に現れやすい不調

更年期の症状は100人100様といわれます。ほてりやのぼせ、冷え、動悸といったおもな症状だけでなく、意外な症状が更年期と関係していることも。一方、この時期に「すべて更年期のせい」と片付けるのも危険です。更年期に現れやすい不調と、病気が隠れている可能性について知っておきましょう。

症状が重なったら更年期の可能性が大きいもの

月経不順や経血量などの「月経の変化」とともに下記のような症状が複数現れたら、婦人科や更年期外来を受診しましょう。その後、症状に対応した科を受診するほうが、いろいろな病院を回る苦労を避けられます。

動悸・息切れ

夜寝ているときなど安静時や、ストレスのない状態でもドキドキしたり息苦しくなるなら更年期の疑いが。自律神経のバランスが崩れて心臓が過剰に働いてしまうのが原因です。ホルモン補充療法で改善しなければ心臓の病気や甲状腺機能亢進症の場合もあるので内科へ。

肩・首のこりがひどい

もともと肩こり、首こりは女性に多い症状です。ただ、更年期の症状としての肩こりは、マッサージや整体では効果がないという人が多いようです。肩こりだけが突出して出ることはないので、他の症状と重なったら更年期が原因である可能性が。ひどい痛みが続くなら整形外科へ。

頭痛・頭重

今までと比べて増えたり強くなるのが目安ですが、更年期とそれ以外の病気の見分け方は難しい症状。痛みが強かったり長く続くなら脳神経外科へ。

ひざが痛い・手足がこわばる

関節リウマチや関節炎の可能性もありますが、更年期でも出る症状です。寒い時期に悩まされるケースが多いよう。他の更年期症状が見られるならまず婦人科や更年期外来へ。ホルモン補充療法で改善しない場合は整形外科を受診して。

腰痛・背中の痛み

閉経期になると骨粗しょう症が進み、弱くなった背骨を支えるため腰に負担がかかって腰痛になることも。ただし月経痛がひどい場合は子宮筋腫や子宮内膜症の可能性もあります。痛みがひどく婦人科で原因がわからない場合は内科や整形外科へ。

手足がしびれる・皮膚がかゆい

日焼け後のようにピリピリしたり、皮膚のかゆみ、アリが這っているような不快感も更年期の特徴です。女性ホルモンの減少で皮膚の感覚が変わったり、乾燥して刺激を受けやすくなっていることが原因。ホルモン補充療法で改善しない場合は、しびれは整形外科、皮膚のかゆみは皮膚科へ。

目や口が乾く

エストロゲンが減ると、体全体のうるおいが失われます。その影響の一つが口やのどの渇き(ドライマウス)や目の渇き(ドライアイ)。唾液が減って食べ物が飲み込みにくくなったり、目が乾いて痛みや急に涙が出るなどの症状が。水分を摂ってものどが激しく乾くなら内科へ。

特有のサインで受診する科を決める症状

同じ「ほてり」でも、更年期によるものと、その他の病気によるものがあります。下記を参考に、症状に対応した科を受診しましょう。

のぼせ・ほてり

顔だけなど一部が熱くなり、熱くなっても短時間で冷めるなら更年期症状。そうでない場合は高血圧や甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の可能性も。症状だけで見分けるのはむずかしいので、一度婦人科か内科を受診してください。

めまい

船の上で揺れるように体がゆらゆらするタイプのめまいが多いなら更年期症状。ぐるぐる目が回り、耳鳴り・難聴などを伴うならメニエール病の可能性があるので耳鼻科へ。

汗をかきやすい

運動後や暑い日でもないのに汗をかき、熱くなってもスッと引くなら更年期症状。脂汗が全身の毛穴から吹き出て、ふだんあまり汗をかかないところから出るのも目安です。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の可能性もありますが、まずは婦人科を受診してください。

体が冷える

手足など一部だけが冷えて他の部分は熱い「冷えのぼせ」は、更年期の典型的な症状。ただし冷えだけがひどい場合もあります。膠原病のレイノー症状や甲状腺機能低下症の可能性もありますが、まずは婦人科か内科を受診してください。

むくみ

女性ホルモンの低下による自律神経の乱れで体液が滞り、むくみやすくなります。もし毎日むくんで長く続き、指で押すとなかなか戻らないなら婦人科か内科を受診してください。

【制作】『からだにいいこと』 株式会社セントラルメディエンス コミュニケーションズ

監修者

池田裕美枝先生

医学博士、産婦人科専門医、内科認定医、社会医学系専門医