年齢と女性ホルモンの変化
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年齢と女性ホルモンの変化
女性は一生を通じて、女性ホルモンの分泌量の変化によって心身に大きな影響を受けます。
女性ホルモンとは、主に卵巣から分泌される「エストロゲン」と「プロゲステロン」のことをいい、この2つのホルモンは排卵や月経をコントロールするだけでなく、女性の心身にも影響をおよぼします。
ライフステージごとに違う?女性の身体
女性のライフステージは主に乳幼児期・小児期・思春期・成熟期・更年期・老年期に分かれており、思春期以降はホルモンバランスの変化によって心身にも変化が生じます。
■思春期
思春期とは、初経(初潮)が始まってから月経が安定するまでの期間のことで、一般的には8、9歳~17、18歳までの時期を指します。
身体が第二次性徴を迎え、女性らしい身体つきになっていく一方で、自分のボディイメージに敏感な時期でもあり、過度な減量を行う危険性もあるため、周囲の暖かい見守りが重要な時期になります。
■成熟期
18、19歳~44、45歳くらいまでの期間を指します。
成熟期は、エストロゲン分泌量がピークを迎える時期、妊娠・出産に適した時期ですが、一方で、月経困難症や子宮筋腫、子宮内膜症といった婦人科系疾患にも注意が必要な時期です。現代女性は昔に比較して出産回数が減ったために月経の回数が増えたために、これらの婦人科疾患は増えています。そのため成熟期の女性は定期的な検査を受けることが大切です。
■更年期
45~55歳くらいまでの期間をさします。
この時期はエストロゲンの分泌量が大きく変化しながら低下するため、心身のバランスを崩しやすく、いわゆる更年期症候群(のぼせ、ほてり、発汗、イライラ、うつ症状など)を生じやすくなります。
また、生活の変化(親の介護、配偶者の病気、子どもの独立など)も影響し、精神的に不安定になりやすい時期でもあります。近年は更年期外来なども開設されているため、無理をせず相談できる窓口を探すことが大切です。
さらに更年期以降はエストロゲンが低下することにより血管の柔軟性が失われ動脈硬化が進みます。閉経前までは心血管疾患の発症率が男性に比べ低い女性も、閉経後徐々にその発症率が高くなるのはこのためといわれています。
また、内臓脂肪の代謝を促していたエストロゲンが減ることで内臓脂肪が蓄積されやすくなります。これにより、脂質異常症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病を発症するリスクが上昇するため、定期的な健康診断を受けることも重要です。
■老年期
更年期を過ぎた年齢以降のことをさします。
エストロゲンの分泌量の低下により、骨密度が低下し、骨粗鬆症や骨折のリスクが高まります。また、腟粘膜や皮下のコラーゲン、骨盤底の筋肉が薄くなることで、膣炎や膀胱炎、尿失禁、性交時痛、骨盤臓器脱といったリスクが高まることがあります。

女性は生涯を通して各ライフステージごとに、ホルモンバランスの変化に伴う様々な体調不良や症状を経験することがあります。
体調に変化を感じた際には悪化する前に医療機関などを受診し、自分の身体と上手に付き合っていきましょう。
※女性の身体の変化や各ライフステージにおける症状には個人差があります。気になる症状がある場合は、無理をせず婦人科への受診をおすすめします。

【制作】『からだにいいこと』 株式会社セントラルメディエンス コミュニケーションズ
監修者
池田裕美枝先生
医学博士、産婦人科専門医、内科認定医、社会医学系専門医