
Interview 02
カメラ & マイク設計

テレワーク下での
コミュニケーション基盤
となるWeb会議。
その根幹を支える
カメラ&マイクの開発の
裏側に迫ります。

開発現場はあらゆるビジネスシーン
どんな場所でも“明るく、見やすく”
映るWebカメラ
Webカメラの開発は、カメラの製造メーカー様と共同で行っています。
開発現場は主に、弊社内にある専用の実験室と、先方内にある実験室の2拠点。そこに加えて、屋外や普通のオフィスも我々にとっては大事な開発現場になります。日中の太陽光から薄暗い蛍光灯までビジネスシーンを想定した様々な環境で行う実験は、開発を進める上で重要な工程となっています。
F値2.0のレンズの採用で映像を明るくしやすい、というハード的な利点を活かして、どのような環境でも安定した映像出力ができるよう細やかな調整を繰り返しました。
どこで仕事をしていても、Web会議の際には“明るく、見やすい”映像を相手に届けることが可能になっているため、どのようなお仕事をされている方でも快適にお使いいただけると思います。


さらに、カメラセンサーには、207万画素(フルHD)のものを採用しています。
センシング方式は、顔認証用のセンサーと通常撮影用のセンサーを搭載した「デュアルセンサー方式」。顔認証と撮影、それぞれのセンサー精度をより高めることができます。当然、その分開発ハードルは高くなってしまうわけですが、我々は、ビジネスの現場での本当の使いやすさ、という点を最優先に開発を行っています。


人の声に合わせてチューニングされた、
“伝える”ためのマイク
マイク音質のチューニングも、カメラ同様、オーディオコーデックベンダー様と共同で開発を行いました。音質テストの指標は社内の音声認識基準を用いていて、老若男女あらゆる人の音声が騒音環境下でもクリアに聞こえるかどうかがポイントになります。
実際のビジネスの現場でも、オフィスなら同僚の話し声や電話の着信音、在宅ワークなら家族の声や家の外を走る車の音など、周囲で色んな音が鳴っている状態でWeb会議をする場面は少なくないですよね。

環境音を低減して音声だけを取り出すためには、マイクだけでなく、音声ノイズ除去技術をいかに駆使するかが重要になってきます。一口に音声ノイズ除去といっても実は色んな方式があって、ビジネスの現場に合うもの、つまり、騒音環境下で人の声を伝えるために最適なものを検討していった結果、マイクロフォンアレイを用いた指向性制御を応用したものを採用しました。

苦労した点としては、マイクの音質を上げるためには、筐体の気密性の確保が重要になってくるのですが、LVでは静電気によるノイズ対策との両立させるのが難しくて……。
今まではマイクの上にノイズ対策用のアルミシートを貼って、さらにその上に気密性確保のためのクッションを貼っていたのですが、更なるマイク性能向上を目指し、試行錯誤した結果、マイクの上にクッション、さらにその上に気密性を阻害することのないよう形状を工夫したアルミシートの順番で接着することで、ノイズに強い高音質なマイクを実現できました。


1台のレッツノートを作り上げる喜び
開発者の思いと思いが交差する協業秘話
カメラ・マイクをはじめとした内蔵デバイスの開発業務は、実は商品企画の段階から始まっています。筐体の機構構造を設計する段階でどのデバイスをどの場所に設置するか、そしてどのくらいのスペースを取るか、すべて決めておく必要があるからです。当然、スペースが大きい方が各担当者としては嬉しいので、ある意味開発者同士の場所取り合戦といってもいいかもしれません。当然ながらレッツノート全体として最高のパフォーマンスを出すことが我々のミッションなので、自分の要望だけを押し通すことはできませんが(笑)

その中で、カメラとマイクは同じ基板上に載っていて、メイン基板から信号を送受するためのケーブルも共用しています。構造上、お互いの信号がノイズ源として干渉してくるのは避けられないので、協業体制を敷いて開発を進めていきました。たとえば、カメラ側で顔認証用のセンサーを搭載したところ、マイク側にセンサーで使用している赤外線LEDのノイズが乗ってしまった、といったこともありましたね。
当然、開発期間は限られていますが、その中でお互いの性能を最大限に引き出しながら、ノイズ問題の解決も求められるわけで、そのためには、各々の専門分野を横断して開発者同士が連携しながら開発を進めることが大切になってきます。様々な分野のエキスパートが集まって、1台のレッツノートを作り上げています。開発メンバーの苦労や努力も、当然すぐ近くで感じています。だからこそ、レッツノートが世に届いて、ユーザー様から嬉しいお声をいただけたときの喜びもひとしおですね。

