
Interview 01
CPU & ファン設計

PCのパフォーマンスを左右する
CPUとその放熱処理。
LVの⾼いパフォーマンスの
裏側に迫ります。

"仕事を⽌めない"が
評価試験の合格基準
我々は設計をする上で、「お客様の仕事を⽌めない」ことを第⼀に考えています。その思想はパフォーマンスの評価ポリシーにも表れていて、たとえば、ベンチマークソフトを動作させた際に、1回目のスコアだけを見るのではなく、複数回を連続動作させた時のスコアの変化にも着目して評価をしています。つまり、⾼負荷が続く状態でもパフォーマンスを発揮できているか、ということを重視してテストを⾏っているわけです。
お客様の実際の使⽤シーンでは、たくさんのアプリケーションを同時に起動したり、バックグラウンドでセキュリティソフトが動いていたりとCPUへの負荷が⾼い状態で⻑時間使⽤されることもよくありますよね。その時に動作が重くならずに快適に使えてこそ、ビジネスモバイルPCのあるべき姿だと考えています。

6コアCPUの⾼いパフォーマンスを
⻑時間維持する、
試⾏錯誤の末に⽣まれた放熱設計
⼀般的に、性能の⾼いCPUは温度が⾼くなりやすい傾向があり、その熱のためにパフォーマンスの最⼤値が低くなってしまうこともあります。
レッツノートはこれまで、軽量、コンパクト化を追求してきた商品です。その⼩さな筐体の限られたスペースの中で、パフォーマンスを最⼤化できるよう、どうやってCPUを冷却するかが⼤きな課題でした。
LV9では、SV9に採用した放熱設計技術を受け継いでいます。これはファンを使った強制空冷で、ファンの⽻の形状や枚数、薄さを緻密にシミュレーションし、6コアCPUの発する熱を冷却するだけの⼤⾵量が出るようにしています。
また、⾵を当てる放熱フィンのピッチや板厚も施策を重ねて最適化することで、筐体のサイズを⼤きくすることなく、最も冷える構成にたどりつきました。
先ほどCPUの冷却という話をしましたが、この放熱設計はCPUの熱だけではなく、その他のさまざまな電⼦部品が発する熱を冷却する上でも最適化されていて、PC全体でパフォーマンスが最⼤化されるように考えられています。

ファンブレード

ファンブレードと放熱フィン


短期間での開発を可能にする
蓄積されたノウハウと⾼い設計品質
パフォーマンスにおいて⾼い評価ポリシーを掲げている我々ですが、だからと⾔って、評価ポリシーをクリアするまで、何年もかけて開発ができるわけでは当然ありません。
特に昨今のビジネスの現場では、お客様の働き⽅やPCに求めるニーズは急速に変化しています。その変化に合わせて最適なPCを市場に送り出すには相応の開発スピードが求められます。
私が担当した基板の実装に限って⾔えば、わずか2回の試作回数で評価基準をクリアしました。この2回の施策のためにどれだけ努⼒できるかといった根性論的な要因もありますが、それ以上に、24年間のレッツノートの歴史で蓄積されたノウハウに裏付けられた⾼い設計品質によるところが、このスピードを実現する上で⼤きいと考えています。ただ、それでもやっぱり、試作機の電源を⼊れるときはきちんと動くか不安で⼀番ドキドキする瞬間ですね(笑)


"現場・現物主義"の産物、
独⾃チューニング「Maxperformer®」
レッツノートは、インテルのパフォーマンス制御テクノロジー「インテル® DTT」を他社に先駆けて導⼊しました。既存の放熱システムとインテル® DTTを統合し、インテル® DTTを最適にチューニングすることでパフォーマンスの最⼤化を⽬指す、その概念を我々は「Maxperformer®(マックスパフォー
マー)」と名付けました。
インテル® DTTのチューニングにあたっては、海外にあるメーカーの開発拠点にも⾜を運び、現地のエンジニアと顔を突き合わせて開発を⾏いました。
具体的には、数ある熱制御パラメータの中からレッツノートのパフォーマンスにとって最適な組み合わせを見つけ出す作業になるのですが、これがとても苦労しました。余談にはなりますが、日本と現地との気候や環境の違いなども影響してくるんです。たとえば、標高が高いほど空気は薄く、ファンから供給される風量は少なくなります。逆に低地であれば風量は多くなります。
そういった違いなども含めて補正をかけながらチューニングをしていくわけですが、現地エンジニアから直接コアな知見を学べる環境で開発ができたことは、独自チューニングを製品に落とし込む上で大いにプラスに働きました。

Maxperformer®の⼤きな特⻑は、お客様の使⽤シーンに応じて電⼒や放熱を最適に制御することで、CPUのパフォーマンスが必要な時にパワーを最⼤化できるようになったことです。
たとえば、従来のように常にパフォーマンスが出るようにしていると、CPUが過熱し過ぎて、⻑時間パフォーマンスを維持することができません。
しかし、使⽤シーンに応じて最適な制御を⾏っていると、負荷の少ない作業中には放熱ファンの回転数を抑えて省電⼒化し、アプリケーションを複数起動しての⾼付加作業時にはCPUのパワーを通常よりも⾼く出してそれを⻑時間維持したりと、バッテリー消費の⾯でもパフォーマンスの⾯でもお客様にベネフィットを提供できます。
Maxperformer®による
CPU制御イメージ


- ※Maxperformer®(マックスパフォーマー)はパナソニック株式会社の商標です。
- ※効果説明のためのイメージグラフです。実際の動作を⽰すものではありません。
- ※インテル® 第10世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー使用時のイメージです。