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STORY NICOBOに託した想い

人の暮らしに寄り添いたいという想い

パナソニックといえば家電製品をイメージされる方が多いかと思います。我々は「もっと便利」を追求し、より高性能・高機能な製品をお届けできるよう日々邁進してきました。一方で、それらが人々の心を豊かにできているのか?と考えた時に、情報の速度やコミュニケーションツールの発達によって人間関係が多様化し、少し心の余裕がなくなっているのではないか、とも感じました。さらに、コロナ禍以降、暮らしのあり方は変化を始めています。そんな中、「家ではほっと肩の力を抜いて自分らしくありたい」そんな想いを持つメンバーが集まり、新しい領域に挑戦するプロジェクトが生まれました。

幾つかアイデアが出る中で、目標をコミュニケーションロボットの開発に定めたのですが、そこからは試行錯誤の連続でした。パナソニックにはロボット開発の知見がほとんどなかったからです。理想のUX(ユーザーエクスペリエンス)とは、そしてそれを実現するにあたり現在の事業アセットから活かせるものは、と手探り状態でプロジェクトを進めていました。

特別なことができない〈弱いロボット〉

そんな中で出会ったのが豊橋技術科学大学・岡田教授が提唱される〈弱いロボット〉です。

〈弱いロボット〉は、特別な何かができるわけではありません。しかし、なぜか放っておけない。〈弱いロボット〉と人が暮らすことで寛容な社会ができるという岡田先生の思想に強く感銘を受けました。道具ではなく、同居人。それまでは高度な言語機能をもつロボットを目指していましたが、プロジェクトにとって大きな転換点となりました。

クラウドファンディングで多くの方々にご支援いただいた後も、コロナ禍の影響もあり開発は困難を極め、長い時間がかかってしまいましたが、ようやく支援者の皆様にニコボをお届けするところまで辿りつきました。これからも我々は、みなさまの暮らしにちょっとした笑顔を増やすことを目標に、ニコボの開発を続けていきます。

— NICOBO開発チーム

どこか頼りないけれど、なんだかかわいい、ほうっておけない――。なにも役に立たないけれど、そこに居ないとなんだか寂しい――。そんな不思議なロボットを作り続けて20年、〈弱いロボット〉というネーミングを与えていただいて、ちょうど10年となります。

​​自らではゴミを拾えない〈ゴミ箱ロボット〉、もじもじしながらティッシュをくばろうとする〈アイ・ボーンズ〉、ときどきモノ忘れする〈トーキング・ボーンズ〉など、わたしたちのラボ(ICD-LAB)では、20タイプを超える〈弱いロボット〉の仲間を生み出してきました。

​​ポストコロナの時代にむけて、パナソニックさんの「心の豊かさにフォーカスした、新たなロボット開発プロジェクト」のお手伝いができたのは、たいへんに光栄なことだと思っております。

ニコボは、〈弱いロボット〉のはじめての社会実装です。〈弱いロボット〉は人々が他者やモノに対して完璧を求める螺旋から抜け出す一助となるのか、わたしも一緒に見守りたいと思います。

— 豊橋技術科学大学 岡田美智男教授