PHOTO CONTEST フォトコンテスト 2024 AUTUMN
受賞作品展
2024年10月31(木) ~ 12月1日(日)
LUMIX BASE TOKYO
RESULT ANNOUNCEMENT 審査結果発表
グランプリ
帰社
サカナリクト さん
撮影者コメント:オレンジ色の照り返し道、印象的な紳士の歩行。思わずパチリ。
講評
森脇章彦
今回のグランプリ作品はサカナリクトさんの「帰社」に決まりました。この作品の良い点の一つとして題名が挙げられます。普通なら自宅に帰る「家路」とかになりそうな写真ですが、「帰社」ですからね。会社に帰らないといけないサラリーマンの寂しさみたいなのが見る人に伝わってきます。僕的には画面左下に並んだ自動販売機が良い味を醸し出していると思います。これからも自分らしい視点で撮影に励んで下さい。おめでとうございます。あなたの作品がグランプリです!
田川梨絵
太陽が傾き光がオレンジになる時間、そこにカバンを持つ一人の人。想像力を引き立てる瞬間の1枚です。長くなった影がしっかりと印象的に入っていて、タイトルから考えると1日の疲労を引き連れて帰社したんだろうかなど、主人公への心情を色々想像できる面白さがあります。自動販売機、左右のお店らしきもの、光るタイルなど都会を感じさせる要素があるなか、主人公以外の人が写っていないことにより、よりドラマチックさが引き立てられる作品だと思います。グランプリおめでとうございます。
上田晃司
サカナリクトさんの撮影された「帰社」という作品を見て、凄くドラマチックな作品だと感じました。グランプリおめでとうございます。点景構図を活かした作品で、画面中央を歩いている人と西日に照らされて伸びる影がとても印象的です。タイトルからも影の伸び方からも仕事終わりゆっくり帰っている雰囲気が伝わります。また、画面周辺にビルの一部や街路樹を入れることで周辺情報が素晴らしい視線誘導効果になっていると思います。おめでとうございます。
相原正明
何を伝えたいか、構図と光の撮らまえ方が完璧です。家路に帰る人物の臨場感、1日の終わりの空気感がとてもよく表現できています。そして実は画面左下の自動販売機の光がとても良いアクセントになっていると感じます。どうしてもありがちになってしまうパターンの絵に、さらに夕方の寂しさを加え臨場感を増しています。ただ1つ惜しいのは画面上部の建築物の部分が、もう少し少ないと人物がより明確になります。ぜひ次回も頑張ってください。
森脇章彦賞
「LUMIXアカデミー講座で撮影した傑作作品」
ねえ!待ってよ~
T.Saison さん
撮影者コメント : 「動いてなければ人形も同じ」の教えのもと、追いかけてくる感じを演じてもらいました。髪のなびき方、表情が良く撮れました。
講評
森脇章彦
僕がLUMIXアカデミーで教えているポートレート講座のテーマが「動きの中から良い瞬間を切り撮る」です。ポートレートの被写体は人間なので動物と同じで生きています。よってマネキン人形みたいに止まったポーズを撮影するのではなく、生きて動いている美しさを追求しております。この写真はそれが良く表れていたので、森脇章彦賞に選びました。これからも頑張って良い瞬間をものにして下さい。おめでとうございます!
田川梨絵賞
「モノクロ」
ちょっとシュール
ひろ坊、 さん
撮影者コメント : 掃除のおばさん、散歩中のおばあちゃん、お地蔵様を撮るおじさん。三人のバラバラな動きが一枚に収まる、自分でも言い表しようのないちょっとシュールな瞬間。
講評
田川梨絵
なんとも目を引くコミカルな作品でした。登場人物全員に動きがあり、舞台の1シーンを見ているような面白さがあります。特に右側にいるお婆さんの表情・服装・体勢などがいい味を出していて全体のイメージを作ってくれています。3人のバランスもとても良い上に、全体を見渡すと左下に別の人影が入っていることに気付き、鑑賞者が発見する面白さもあります。タイトルもこの世界観を引き立てるものになっていて、面白い作品でした。
上田晃司賞
「街スナップ」
家へ帰ろう
ぽんのすけ さん
撮影者コメント : 近所のこの鉄塔を取り囲む夕景がなぜかとても好きで、夕焼けしそうな日はついカメラを持って行って同じような写真ばっかり撮っています。
講評
上田晃司
ぽんのすけさんの撮影された「家へ帰ろう」はブルーモーメントに撮影された美しい作品です。日が沈み、空が深みのあるブルーになっていく一日の終わりが空の雰囲気から伝わります。画面中央の鉄塔が主軸となり左の壁に反射する風景、そして画面右側を通過する自転車に乗った人をブラすことで家路に急ぐ感じがしっかりと表現されていると思います。素晴らしい作品をありがとうございます。
相原正明賞
「風景・建築・都市景観」
静と動
meijin さん
撮影者コメント : 藤棚に止まる鳩の横顔を中望遠マクロで撮影していると、ちょうど奥にもう1羽の鳩が着地しました。ピッタリと静止している鳩と、奥に翼を広げながら降り立つ鳩の2羽で「静と動」がテーマになった1枚です。
講評
相原正明
鳩の表情と構図がやはり素晴らしいです。特に背景になっているアウトフォーカスのもう1羽の鳩。この存在がこの作品の決定的なインパクトを生んでいます。偶然の産物かもしれませんが、偶然を引き込むのも写真家の力量の1つ。単にうまいだけでは、素晴らしい作品はできません。よい視点、コンセプト、テクニック、そして運も大切です。そして今回は画面の中に大きく占める紫色の花の色がポイント。紫は色表現がとても難しく、それを見事にご自身の物にされています。
佳作 7点
僕の葉っぱだよ
マロン さん
撮影者コメント : 落ちてきた葉っぱを受け止めた瞬間です。
講評
森脇章彦
小川先生の講座で日本リスを撮影した作品ですが、僕が毎回言っている「生き物は動いている中から良い瞬間を切り撮る」がバッチリできた作品です。人物同様にリスのポートレート撮影的写真です。光も逆光気味でリスに立体感があり緑の葉っぱも美しく、素晴らしい瞬間をものにできています。これからも動物に愛情をもった作品を沢山撮影して下さい。おめでとうございます!
3連ボート
ShinG3 さん
撮影者コメント : 初めてボートレースを撮りました。スピード感が激しくて、AFが進化したLUMIXだからこそ撮れる絵が増えて楽しかったです。
講評
森脇章彦
平和島のボートレース場の作品は本当によく似た瞬間を撮影した作品が多かったのですが、レース本番中の撮影で上手く3艇が並んだ瞬間を切り撮った、この作品を選びました。もっと迫力のある作品もありましたが練習艇の撮影だったので、本番レース中にこの瞬間を切り撮ったところを評価致します。欲を言えばシャッタースピードがもう少し速いか、もう少し遅くスローシャッターで流し撮りでも良かったと思います。少し無難なシャッタースピードでした。それでも立派です。これからも頑張って下さい。おめでとうございます!
天空のグランドワゴニア
ねぎ さん
撮影者コメント : 標高2000メートル、身体は朽ち果てても、彼の魂は今も富士山の頂を目指している。
講評
田川梨絵
山と思われる状況に、ひしゃげた車、立ち上がる雲、奥に見える山々。どういう状況!?という思いでグッと目を引かれる作品でした。不思議な状況の被写体を、その状況が伝わる画角で捉えていることにより面白さがしっかりと伝わります。特に立ち上がる雲が良い味を出していて、一生を終えた車の魂が空気の流れと共に天に昇っていくかのような哀愁も感じます。全体を見せるには少しコントラストが強すぎたかなと思うので、もう少しだけ全体のディテールが見えるとより良くなると思います。
湿原にて
ライオンキング さん
撮影者コメント : 清らかで穏やかな水流と樹々の光景を広角レンズでソフトフォーカス調に撮影してみました。
講評
田川梨絵
ソフトフォーカスでしょうか。そのような効果を利用することでイメージが柔らかくなり、幻想的な世界観になっていて面白い作品でした。ストレートに切り取ると、晴天下なので陰影がはっきりする状況ですが、光が滲む効果を使用することによって、全体的に白い世界が広がり、それが幻想的なイメージを作っています。1つ、ディテールが細かいもので画面全体が構成される方がよりこの世界観が引き立つので、左上にある「切れた大きな木」が入らないアングルを探すとより良くなると思います。
初夏のベンチ
Tatsumine さん
撮影者コメント : 井の頭公園のベンチは自分の被写体のベンチマークです。
講評
上田晃司
Tatsumineさんは素晴らしい作品を複数投稿いただき悩みましたが、今回「初夏のベンチ」を選びました。初夏の美しい緑を上手に使われており画面周辺は緑、そして主題のベンチに座る女性の後ろ姿から会話が聞こえてきそうです。構図としてはシンプルな日の丸構図ではありますが、画面周辺に沢山の緑や池を入れることで非常に立体感のある作品に仕上がっていると思います。音が聞こえてくる素晴らしい作品ですね。
タイムトンネル
たっぷる さん
撮影者コメント : 旧大日影トンネルを利用した遊歩道。直線なので、出口が正面に見えて、レールやレンガや架線が、綺麗に放射状になっていました。
講評
相原正明
この写真を初めて見たとき、子供のころ見たTVドラマ「タイムトンネル」を瞬時に思い出しました。まさにタイトルと絵がドンピシャです。そして構図は映画監督スタンリー・キューブリックが「2001年宇宙の旅」で多用した、彼が得意とする、1点技法を見事に使いこなした作品。テクニックではない視点と感性で撮られた作品と高く評価します。この作品を「LEICAモノクローム」もしくは「L.クラシックネオ」で重厚感をプラスして表現していただければ完璧と僕は思います。
ジャンクション
デーブ さん
撮影者コメント : 首都高速とその先の街の明かりが美しく撮影しました。
講評
相原正明
マジックアワーの絶妙な光と人工光源の対比がとても上手だと感じました。何よりも画面整理が美しく、無駄のない構図により主題が明確です。時として都市の夜景は表面的な光の美しさに惑わされ、要素が入りすぎて主題が不明確になりやすいですが、この作品は見事に表現できています。今回選んだ作品は構図が優先。コンテストは珍しいものの自慢大会になりがちですが、今回は珍しさではなく、しっかりしたコンセプトと構図で選ばせていただきました。
特別賞
全応募作品の中から一般投票により選出された作品
雷神
imakoji さん
撮影者コメント : 大阪府池田市 五月平展望台より撮影。S9でインターバル撮影にて撮影後、30枚比較明合成しました。
講評
400点を超える応募作品の中からCLUB Panasonic会員様の投票により「特別賞」に選出されました。誠におめでとうございます。轟く雷鳴が街中に響いているかのようなインパクトある作品。比較明合成により表現された雷光は力強く美しくもあり、鑑賞者に畏怖の念を抱かせます。今後もLUMIXアカデミーで撮影テクニックと表現力を磨いていただき、フォトコンテストへのご参加をお待ちしております!
GENERAL OVERVIEW 審査を終えて
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森脇章彦
みなさん、こんにちは。写真家の森脇章彦です。今回もフォトコンテストの審査員を務めさせて頂きました。今回は応募期間も短い中、思った以上に沢山の方々に応募頂きありがとうございました。特に僕の担当する「LUMIXアカデミー講座内撮影写真」は同じ場所で同じ瞬間を撮影された応募作品が多く、とても選ぶのが大変でした。それだけ力作揃いだったと言うわけです。これからもこのフォトコンテストは続いていきますので、また次回も沢山のご応募お待ちしております。ご参加頂いたみなさん、どうもありがとうございました。
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田川梨絵
コントラストがしっかりしたものから、柔らかな陰影による表現までとてもさまざまなモノクロ表現の作品を見せて頂きました。現実世界を切り取った1枚が、非現実のモノクロになることで見せたいもの・伝えたいことがよりシンプルになり、皆さんの感情・発見・物語などが伝わってきますね。ただ切り取っている瞬間や世界は面白いのに、シャープさやコントラストを求めすぎ、ガビガビした写真に仕上がっているものもあったので、調整した場合は数日後に再度フラットな目で確認してみると良いですね。
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上田晃司
今回多くの素晴らしい作品をご投稿いただきありがとうございました。街スナップ部門では日常をドラマチックに撮影された作品や日常の何気ない気づきなど、個性ある作品が多かったと思います。また、光と影を意識した作品や、決定的なタイミングをしっかりと捉えた力作にも目を奪われました。どの作品もレベルが高く選考するのに時間が掛かりました。今回はタイミングや撮影された時間をどのように活かしたか、主題以外の要素にも目を配りながら選考させていただきました。入賞された方もそうでない方も是非、皆さんが投稿した素晴らしい作品を見ていただき今後の作品制作に活かしていただけると幸いです。
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相原正明
入選されたみなさまおめでとうございます。LUMIXアカデミーフォトコンテストらしく、のびのびと写真を撮ることを楽しんでいる作品が数多くてよかったと思います。割とフォトコンでは賞狙いの作品が増えて、賞をとるためにあざとさが見えてしまいがちです。でも今回は普段のアカデミーでの知識と体験で写真を楽しんだ結果が、作品ににじみ出てよかったです。ただ次回、もう少しLUMIXならではの、モノクロを含めた色のバリエーションと、アスペクト比の多様性がもっと欲しいです。